近年、自分のクルマやそのシステムを理解したいと考える人が増えてきています。また、多少の故障であれば、整備工場に行く手間を省くために、できれば自分で修理したいというニーズも高まっています。そのため、近年はOBDデバイスとそれに対応するOBDアダプターの需要が高まっています。そこで、OBD2およびOBDアダプターの概要と、OBD アウディ Audiの使用方法について説明したいと思います。
では、AudiのOBDとは何でしょうか？ OBDはOn Board Diagnosticsとも呼ばれ、車内のほぼ全ての処理・手続きのモニタリングをする役割を担っています。車載式コントロールユニットをリンクしてモニターし、発生したエラーを記録し、さらに分析します。当初、OBD（車載式故障診断機）は排ガス制御システムに焦点を当てていましたが、現在その範囲はエアコン、インフォテインメント（ナビや娯楽機能）、車体制御システムなど、ほぼすべての車載システムに広がっています。現在の標準はOBD2ですが、自律走行車など”未来の移動”に対応するためにOBD3が開発中です。
今回は、アウディに搭載されている車載式故障診断機、OBD アウディの機能について詳しく解説するとともに、クルマの性能をより引き出すために役立つヒントをご紹介します。
OBDの開発
アメリカでは1988年から、特にカリフォルニア州を中心に排ガス規制が厳しくなっていきました。その流れで、自動車の排ガス制御システムを監視し、排ガス制御システムに異常があれば、ダッシュボード上の信号ランプでドライバーに警告する仕組みが開発されました。それがまさしく、車載式の故障診断・OBDの初登場の場となり、OBD1が誕生しました。しかし、各自動車メーカーが独自にそれぞれ開発したシステムであったため、ただシンプルに接続してクルマのフォルトメモリ(エラー)を読み出すことは事実上不可能でした。そこで、カリフォルニア大気資源局(CARB)は1994年に、1996年以降に製造される車両には、新たに開発・標準化されたOBD2システムを搭載するよう発表しました。OBD2は、標準化されたインターフェース(接続)をもたらし、モニターできる車両制御システムの範囲を拡大しました。つまり、理論的には、OBD2のスキャナーがあれば、複数のメーカーの車のフォルトメモリを読み、排ガスシステムだけでなく、他の車両システムのエラーも特定することができるようになったのです。
上記の通りアメリカでは1980年代後半からすでに排気ガスモニタリングシステムが普及していましたが、ヨーロッパでは2000年代初頭の排ガス規制「EURO III」でこの流れに乗りました。制御・監視システムとして米国のOBD2が採用され、以来、欧州のガソリン車では2001年以降に製造された車両はOBD2システムの搭載が義務付けられています。この規制は、2004年にディーゼルエンジン車にも実施されました。
この新しい統一規格によって、世界中の整備工場で働く自動車整備士の生活は格段に楽になり、故障メモリの読み出しも導入前よりはるかに速くなりました。しかし、恩恵は整備士だけに留まらず、個人の車オーナーにとっても有用であることが判明しました。以前は、エンジンコントロールランプやチェックエンジンランプが点灯した場合、問題の大小をオーナー個々では確認する術がないため、整備士のところに行く必要がありました。そのため、些細なエラーであるにもかかわらず、時間とお金を浪費してしまうことがありました。現在では、多くの消費者向けOBDスキャナーや診断装置が登場し、個人オーナーは適切なOBDアダプターや診断装置を使って最初のエラー分析を行い、エラーの深刻度を判断することができます。
コントロールユニットの読み出しに、なぜOBDアダプターが必要なの？
すでに前文で述べたように、OBDインターフェースは、どの車でも同じように設計され、同じように機能する標準化されたインターフェース(接続)です。 OBDポート経由でアクセスするためには、車の制御装置と各診断装置の間の接続を容易にするOBD装置が必要です。
OBDのインターフェースはどのように構築されているの？
ここでは、OBDがどのように機能するかを正確に理解するために、少し専門的な話をします。OBD2インターフェースは、異なるタスクを持つ16ピンのソケットです。すべての車両で統一しなければならない標準的な極(ポール)のセットがある一方で、メーカーに応じてカスタマイズできる7つの極があります。このため、例えばアウディでの極の割り当ては、BMWと同じであるとは限りません。アウディの診断ツールの割り当ては以下の通りです。
– ピン 2：J1850 Bus+
– ピン 4：車両グランド
– ピン 5：シグナルグランド
– ピン 6：CAN High (J-2284)
– ピン 7：ISO 9141-2 K出力
– ピン10：J1850バス
– ピン14 : CAN LOW (J-2284)
– ピン15：ISO 9141-2 L出力
– ピン16：電池電圧+12V
ピン 7とピン 15のK線とL線は、OBDアダプターを介してコントロールユニット/制御装置と接続されたメーターとの通信に使用される線です。通信時の伝送速度は約10.4キロビット/秒です（kbps）。
原則として、L線で制御ユニットを起動します。 データ通信はK回線で行われます。 ただし、Audi A4（8E）のように、これとは異なるメーカー・車種もあります。 この車両はK線とL線ではなくKL線とKKL線、つまりK線が2本あるのです。 動作モードは通常のK、L線と同じだが、メーカーはここでデータ伝送用のL線ではなく、KKL線と表現している。 特にロステックのビルトインブッシュはそうです。
OBDアダプターで読み取れるフォルトコードはどれら？
原則として、すべての自動車メーカーが同じように使用している自家用OBDアダプターを使用しないと、標準的な故障コードの読み出しはできません。 構造は、センサーや電子機器の故障情報を提供する文字と4つの数字で統一されたシステムに沿っています。 ここで、故障箇所を判断するための一般的な符号は次の通りである。
– コード “Pxxxx” = パワートレイン(駆動系)
– コード “Cxxxx” = シャーシ（ランニングギア）
– コード “Bxxxx” = Body (車体)
– コード “Uxxxx” = ユーザーネットワーク（Networks）
2位のエラーグループは、以下のような構成になっています。
– P0xxx メーカー非依存
– P1xxx メーカー独自仕様
車両のアセンブリは、第3の位置にある。
– 0はシステム全体
– Px1xx は、二次空気/混合気の準備にエラーがあることを示しています。
– Px2xxは、燃料システムの故障を意味する
– Px3xxは点火系に関係するか、燃焼不良を示す。
– Px4xxは、排出ガス監視のためのすべての追加システムを意味します。
– Px5xxは、速度/アイドル回転数制御に問題があることを示しています。
– Px6xxは、オンボードコンピュータとその入出力信号の略です。
– Px7xxはギアボックスに関するものです。
ポジション4と5は、連続したコンポーネントの番号です。
例えば、Audiの場合、エラーコードの意味は以下の通りです。
– P1752 電源の異常
– P0230 燃料ポンプ付近の一次回路の異常
– P0301 ミスファイヤーを検出
ただし、すべてのコードがすべての機種に等しく適用されるわけではなく、差異があることに注意が必要です。
AudiのOBD、OBD アウディで何ができる？
OBDは、前述の通り、自動車の排気ガスや排ガスを監視し、同時に搭載部品の機能を保護するために開発されたものです。 適切な診断装置と適切なアダプターを使用すれば、コントロールユニットのエラーを自分で表示することも可能です。 そのためには、アダプターを装着したOBD診断機をOBDソケットに接続する必要があります。 エンジンを始動し、接続された機器の対応する診断機能を作動させます。 読み出しには数分以上かからないはずです。 処理が完了すると、付属の診断機器にさまざまなエラーコードが表示されます。
また、一部の機器では、エラー表示だけでなく、エラーコードを削除することも可能になりました。 ただし、ここでは細心の注意が必要です。 これは、不適切なエラーの結果や影響について知らせる警告機能を、機器のメーカーが内蔵していないためです。 また、エラーが正しく削除されないこともあり、以前よりも後々大きな問題が発生することもあります。 例えば、エアバッグ機能が損なわれたり、インジケータ間隔が乱れたりすることがある。 ですから、自分がやっていることがよくわからないときは、いつでもワークショップに行ったほうがいいんです。
Audi用のOBD診断機にはどのようなものがある？
OBDデバイスへの関心の高まりから、現在では様々な価格帯のモデルが市場に出回っています。 例えば、独自のディスプレイを持つタブレット端末や、ユーザー自身のノートパソコンにインストールする追加診断ソフト、スマートフォンやタブレット端末用のアプリなどがあります。
ディスプレイを搭載したタブレット端末
市場にはさまざまなモデルがあります。 一方、クラシックバージョンでは、車のODB2アダプターにケーブルで接続し、独自のソフトウェアで故障メッセージを読み出すことができます。 この種のデバイスは、タッチパッドで操作できるものがほとんどですが、まれにボタンを押すことで操作できるものもあります。 また、多くはBluetoothで車と接続できるようになりました。
多くの設定項目、徹底的で深いエラー解析、多彩な機能を提供します。 ただし、これらのOBD診断機器を購入する際には、その取り扱いや使用に関して一定の基礎知識が必要であることを認識しておく必要があります。
メリット
– 単体
– 多彩な機能
– 簡単な取り扱い、操作
デメリット
– 豊富な機能に対して、メーカーが多くの費用を負担しています
– また、常にどこにでも持ち運べるわけではありません。
– すべてのメーカーがアップデートを提供しているわけではありません。
ノートパソコン版
もう一つの選択肢は、すでに多少高価になっていますが、ノートパソコン用の専用ソフトを購入することです。 故障診断のためには、ノートパソコンとクルマをケーブルで接続する必要があります。 多くのソフトウェアメーカーは、自社製品による故障解析だけでなく、車両設定への介入も行っています。 また、いくつかのソフトウェアソリューションでは、インジケーター間隔など、さまざまな車両設定の再記録が可能です。 ソフトウェアソリューションは、対象となる車種を幅広く提供しています。 ただし、メーカーにより機能の幅は異なります。 また、インターネットへの接続が必要で、付属のケーブルでは限られた範囲しか移動できません。
メリット
– 単に故障を読み上げるだけでは終わらない、数々の可能性。
– 大画面（ノートパソコン）での作業も可能なため、クリアで快適。
デメリット
– 多くの場合、ソフトウエアは単純な診断装置よりもかなり高価です。
– 現在、多くのメーカーが1年間のレンタルライセンスのみを提供しています。 一連の機能を継続して使用するためには、1年ごとにソフトウェアの更新が必要です。
– 車両のセッティングを書き換えるなど、さまざまな可能性があるため、ソフトウェアは初心者にはあまり向いていません。
– 自分のクルマに合った機能の幅を試せる無料体験版があるとは限りません。
アプリのバリエーション
ここでは、ご自身のスマートフォンをOBD診断機器に変身させます。 一方、数多くのメーカーが専用に開発したアプリを提供しています（例：Carly社）。 ただし、この場合、適切なアダプターを介してOBDインターフェースに接続する必要があります。 アプリを購入する前に、必ず自分の車との互換性を確認してください。 多くのアプリメーカーは、新しい車種にしか診断アプリを提供していません。
メリット
– スマートフォンにアプリを簡単にインストールできる
– スマートフォンはいつもあなたのそばに
– メーカーが定期的にアップデートを行う
– 多くのメーカーが無料体験版を提供しており、自分の車との相性を試すことができる
デメリット
– アプリは必ずしも費用対効果が高いとは限りません。
– いずれにせよ、アプリを使用するためには、適切なアダプターが必要です。
– すべてのアプリがすべてのOSで使用できるわけではありません。
– アプリのすべての機能が、すべてのメーカーやモデルで同じように利用できるわけではありません。 そのため、可能な機能の範囲をよく吟味した上で購入する必要がある。
診断アプリでフォルトメモリを読み込むと、どのように動作するの？
また、すでに述べたように、専用アプリによるエラー読み取りの可能性も出てきました。 各アプリは、機能の幅やコストの点で大きく異なっています。 最もシンプルなアプリケーションでは、エラーコードを表示するだけでよい。 場合によっては、まだメモリをリセットすることが可能です。 しかし、それすらも、アプリケーションでは当たり前のこととは限らない。 また、すべてのアプリケーションがドイツ語で利用できるわけではありません。 そのため、ここでの操作性は、その内容を正確に把握していないとできないものなのです。 また、アプリを使用するには、適切なアダプターが必要です。 すべてのアダプターがすべてのアプリに対応しているわけではありません。 多くのアプリメーカーは、そのアプリケーションに特化した独自のアダプターを用意しています。
まとめると、診断アプリについて言えることがあります。
– 診断アプリは、スマートフォンやタブレットで車の故障コードを読み取るものです。
– 車へのアクセスは、車内のOBD接続で行います。
– BluetoothまたはWLANでモバイル端末にデータを転送するためのアダプターが必要です。
– エラーコードを表示し、解釈し、時には削除することも可能です。
– また、アプリケーションによっては、点滅間隔など、車内の特定の設定を再記録することも可能です。
純粋にエラーを読み取るだけのアプリもありますが、アプリで診断や安全性に役立つ情報まで提供しているメーカーもあります。 そのひとつが「Carly」アプリです。
Carly/カーリーでAudi/アウディのフォルトコードを読み取る
このアプリケーションの基本的な機能は、エラーを読み出すことです。 制御コンピュータと車に搭載されたすべての制御ユニットにエラーメッセージがないか確認します。 検査では、正常な状態からのわずかなズレも検知し、エラーや表示として出力します。 したがって、アプリが表示するすべてのメッセージがダッシュボードのインジケーターや警告灯として表示される、または表示されていなかったとしても、驚く必要はありません。 しかし、すべての故障が修理工場への出張を意味するわけではありません。 Carlyアプリでは、エラーを表示するだけでなく、同時に削除することも可能です。 繰り返しになりますが、起こりうるリスクを認識した上で、本当に確実な場合のみ削除してください。 この点については、インターネットで調べると、オープンな疑問にも答えてくれることが多いようです。 Carlyアプリで得られるもうひとつの機能が、中古車チェックです。
中古車チェックの裏側とは？
残念ながら、OBDが発達し、数多くの機器やソフトウェア製品が出回るようになったことは、メリットばかりではありません。 車の一部の制御ユニットが再コード化される可能性があるため、最近、中古車販売時に不正を働こうとする動きが活発化している。 特に操作されたマイレージによって。 これはもはや、コックピットのディスプレイだけでなく、コントロールユニットでも行われています。 しかし、オドメーターの測定値はコントロールユニット内のさまざまな場所に保存されており、そのすべてを操作できるわけではありません。 そこで登場するのがカーリーの中古車チェック。 スキャン中は、すべてのコントロールユニットの保存されたオドメーターの読み取り値を比較し、読み取ります。 もし偏差が検出された場合、アプリは数分以内にエラーとしてこれを報告します。 もちろん、これが自動的にスピードメーターの改ざんを意味するものではありません。 偏差があるユニットは、例えば、不具合で一度交換したため、レベルが低くなっている可能性があります。 しかし、そのような変更はすべて自動車登録証に記録されなければならない。 そうでない場合は、操作されている可能性が高いです。
車両コーディングをできる可能性は？
AudiはSeat、VW、Skodaと同じくVAGグループ（Volkswagen-Audi Group）に所属しています。 このグループの車には、統一されたコントロールユニットが搭載されていません。 モデルや機器などに応じて、メーカーはモジュラー原理により、異なる機能を持つ他のコントロールユニットを組み合わせています。 例えば、ゴルフIVではコントロールユニットも個体差があります。 このため、VAG グループのモデルに対して一般的に有効なコーディング機能を開発することはできません。 機種により、コーディングオプションがあります。 ご自身の車種に合った範囲を調べるために、カーリーは無料のライト版を提供しています。 これを使えば、自分でオプションをテストすることができます。
Audi用OBDアダプター ひとまずの結論
OBDアダプターをOBD診断機や診断ソフトと併用することは、特に今の時代、本当に望ましいことだと思います。 十分な経験があれば、多くの故障を自分でクリアできるだけでなく、診断結果をワークショップに持ち込めば、整備士工場に行く時間とコストを節約することができます。 特にアプリを利用することで、OBD技術を誰でも利用できるようになりました。 ただし、購入前に必ず自分の車との相性を確認する必要があります。 また、多くのアプリケーションでは、車の走行中にライブ分析を行い、不具合を読み取ることができます。 これらは例えば（メーカーや機種によって異なります）。
– エンジン負荷(%)
– 冷却水温度
– 回転数（rpm)
– 電圧（V)
– 100km走行あたりの燃料消費率
– ギヤ係
– 現在有効な制限速度での速度
– 外気温度（単位：°C
今回ご紹介するAudi用のCarlyアプリには、これらのオプションに加え、スピードメーターの操作を見抜くのに重要な中古車チェックも搭載されています。Carly Lite版で、あなたのAudiのための機能の幅を試してみてください。 これにより、故障診断の初期経験を積むことができるだけでなく、ライブ走行などCarly Appの他の機能がAudiで利用可能かどうかも確認することができます。どのシステムを選んでも、あなたにとって大きな助けとなることでしょう。
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